黄昏の出会い
静先輩とは、ある事がキッカケで知り合った。



その時に先輩が陰陽師の1人である事も知った。



あの日から私にとって静先輩は、私の尊敬する人だった。



その先輩が、居なくなるなんて……っ!



涙が止まらなくて、顔を手で覆うと、先輩の手が私の頭に置いて撫で始めた。



先輩の優しい手の動きと温かさに耐えられなくて、先輩に抱きついた。



先輩は振り払う訳でもなく、あやすように私の頭を撫で続ける。



「…向こうには……妖怪の治安が、あまり良くないんだ。」

「はい……。」


「天ヶ星を守る術士が居なくなった今…

…私は、向こうに行かなきゃ行けない……。」


「……はい…。」


「…その術士の人達には、世話になってるんだ……。


…これ以上、
あの人達に重荷を背負わせたくないって……、思った…。」



あぁ……



静先輩は、もう覚悟しているんだ。



責任感がある先輩は、本気でそう思って決めたんだ……。



私は涙を拭って、先輩と顔を見合わせる。



「先輩…。」


「……ん。」


目線を合わせると、先輩がまだ涙で濡れている頬を撫でてくれた。


「…天ヶ星、
頑張って下さい。」

「あぁ…。」



先輩が少し柔らかい表情になった。



「無理だけはしないで下さい…。


離れていても、私は先輩の後輩です…。」


「……あぁ。」



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