君への小さな想いを掲げて *a sequel*
「今日はやけに遅かったね、きーちゃん」

私の髪の毛をさわりながら手にファンデクリームを持つのはいつもモデルのメイクをしてくれる4個年上の笹原京子ことササキョン。

なれた手つきで私の髪にホットカーラーをまいていき、すぐに私の顔にメイクを始めた。
パフが頬にポンポンと当たって気持ちがいい。

「今日は、どっちかっていうと森ガール系多めだからメイクはナチュラルでいくからねー


ササキョンは私の頬にベビーピンクのチークをぽんぽんっとつけて、鏡を見て確認した。
私はメイクしてもらえる時間が好きだ。

自分が輝いていく気がする。

「んー…グロスはこっちのピンクとこっちのピンクどっちがいいかなー…」

しばらくしてササキョンが私の目の前に2つのグロスを差し出した。
1つはナチュラルなサーモンピンク、もう1つはすこし濃いめのビビットカラーのピンク


「私はこっちのサーモンピンクがいいな」

「おっけ。じゃあこれでいこうか」

ササキョンは素早くグロスを塗ると、にっこり笑った。
出来上がった。

モデル、高野瀬希凛。

「おっけー…。いいね、可愛い」

「ありがとうご…ぐぇっ」

お礼を言おうとすると、後ろから襟を引っぱられる。

「はーやーくー。着替えるよ!今日はボタン系だからメイクの後でもいけるけど、トータルネックだったらどうすんのよ、ったく…」









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