君への小さな想いを掲げて *a sequel*

「希凛は？」

「え、何が？」

「好きな人。」

そう言われてズキンと胸がちょっとだけ痛くなった。
好きな人…。
彼＿戸部山光がまだ好きなんて言ったら呆れられちゃうんだろうな。


「今のとこは…いない、かな」

「そーなの？まぁ、そっかー。戸部山くんもいないしね」

「ははは。なんで光くん出てくるの」

「いや、懐かしくて。私、今日希凛が戸部山くんのことで悩んでるのを夢でみてさー。なんか5年ってあっという間だよね。」

「うん…」

びっくりした。
彩がそんな夢みてたなんて。

「あ！でもでも、矢杉がいるじゃん」

「優くん？」

「うん。告ってから矢杉、相当希凛にアピールしてたよね。希凛てば、戸部山くん行ったあとだったからまだ上の空だったけどさ。」

「ははは。」

そうだ。
優くんは5年経った今でも私を好きでいてくれてる。
光くんを諦めきれないどうしようもない、私を。

5年前の光くんが行った後だって、彼は私に負担にならない程度に気持ちを伝えてくれたのに。