君への小さな想いを掲げて *a sequel*
「おつかれー」
彩の姿を横目に公園のベンチに腰かけた。
彩は、ぽわーっとした様子で立ったまま座ろうとしない。
「あのー…彩?」
撮影が終わってスタジオを出てから彩は変だ。
いつもはスタッフに対しての愚痴を言うのに今日は上の空。
「久賀さんって…彼女いるのかな…」
「はい?」
ボソッと聞こえた彩の声に頭がよく回らない。
久賀さんって…
さっきのメンズモデルの?
「希凛…、久賀さんってかっこいいわよね…」
「そ…そう、だね」
どうやら彩は久賀さんを好きになってしまったらしい。
彩の彼氏はいつまでたっても愛犬ジャックかと思ってたけど。
彩だってもう恋する歳だよなぁ。
初恋にしては遅すぎるかもしれないけど。
「内山さんはクールすぎてちょっと苦手かも。久賀さんって…はぁ。」
「はぁ。」
今頃になって5年前の彩の気持ちが分かった気がする。
女友達の恋話って超めんどくさい。