これからは…
「しるふ、会社用携帯通話中にしときなよ。なんかあったら乗り込んでいってあげるから」

しるふのため息を聞きつけて隣に居た莉彩が見上げてくる

「いや、さすがにそこまでじゃ」

ない、と自信を持って言い切れないのは、あの海斗ですら癖穎しているご令嬢がたくさんいるから

「そうですよ、立花先生。黒崎先生がいない今警戒するに越したことはないですよ」

園田も莉彩同様見上げてくる

「大丈夫だって。話聞きたいだけって言ってるしさ」

それが本当の目的であることを切に願いながら

不安そうな瞳に見送られて押し開けた医局のドアは、いつもより重い気がした

医院長室に向かうまでの間

無意識にポケットに入っている携帯を握りしめる

電話したくなる自分を叱咤して向かうは病院の中央A棟

そこの3階

病院のど真ん中に医院長室はある

厳かなドアの向こう

一度だって足を踏み入れたことはない

ふ、と大きく息を吸い込んでから、コンコンと強めにドアを叩く
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