これからは…
「さっき運び込まれた患者だ。作業中の転落事故、頭は打っていないようだが、内臓の損傷があるだろう。血管が損傷していれば縫合しないと…まあ、いろいろ大変になってくるな」

ついつい専門用語を出しそうになって、海斗は適当に状況説明を終わらせた

まあ、たぶん自分の話なんて2割くらいしか聞いていないと思うのできっと問題ない

処置室にいるのは園田とその指導医であるしるふ、そして何人かの看護師だ

ちょっと前まで海斗のフォローに入っていたしるふが、今ではフォローされる側だ

二人で処置に入ることもあるが、ことあるごとに指示を出していた昔とは異なり、海斗の処置をみてしるふが先を読み、状況を読み、的確な動きをしてくれる

動きも無駄が無くなり、処置のスピードも格段に上がっている

精密さも然り

そのことを再認識した海斗は、ふと流れた時間の長さを感じた

そう、それだけしるふは成長した

まだ研修医のころの危なっかしい影をちらつかせることもあるが、それもだいぶ薄れてきた

自分もまだまだ成長しなければ

少なくともしるふがその背に追いつきたいといつか隣に並んで歩きたいと思えるような医者でなければ

< 99 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop