手を伸ばせば君が。



俺が帰って来た時には、机の上に置いていたはずのリンゴが消えていた。


皿だけを残して……。



「俺のリンゴは?」


「無い。」


即答、酷い……。



少し凹んでいると夏実が話しかけてきた。


「お兄ちゃん、そのタオル、ちゃんと洗って返すんだよ……?」


ふと夏実を見ると、冷めた目でベッドの上から俺を睨んでいた。


「当たり前だろ!!」


そう言って俺は夏実に軽くデコピンした。


「痛いな、馬鹿兄貴!!」


ドゴォッ!!!



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