もっと美味しい時間  

足元でも滑って、床に頭から倒れる?
とっさに頭を抱え目をぎゅっと瞑ると、ゴンっと衝撃と共に痛みが……やって来ない。

あれ? どうした?

ゆっくりと目を開けると、そこには慶太郎さんのどアップの顔が……。

「うわぁっ!!」

近すぎて怖い。
思わず、どこから出しているんだと言うような低い声で叫んでしまう。
そして何故だか私は、慶太郎さんに抱きかかえられていた。

何で、お姫様抱っこ?

今までの流れで、お姫様抱っこされる理由は、どこにも見当たらない。
それに、ミニスカートも穿かせてもらってないこの状況でのこの体勢は、非常に恥ずかしい。
お尻の辺りにある慶太郎さんの手が、妙に生々しく感じる。

「け、慶太郎さん? 何で私は抱かれて……っ」

唇に指が触れた。慶太郎さんに言葉を遮られたんだ。

「……っとに。こういう時、キスで口が塞げないのは面倒だっ。少し黙ってろ」

慶太郎さんがイライラし始めた。
こうなった慶太郎さんには、素直な態度で接するのが一番! いくら彼女でも、このルールを守らないと後が怖い。
うんうんと頷き黙りこむと、唇に押し当てられていた指が外された。

慶太郎さんが足を一歩踏み出す。

どこに連れて行かれる?

慶太郎さんの腕の中、少し不安な気持ちで身を硬くすると、バスルームへと入っていく。
え?  えっ!? 私まだ、全部服脱いでないしっ。
って、そういうことじゃないっ!!

「慶太郎さんっ、下ろして……わわっ!!」

シャワーヘッドから勢い良くお湯が出てきて、私の身体を濡らしていく。
< 118 / 335 >

この作品をシェア

pagetop