もっと美味しい時間  

「じゃあ俺も戦わないとな」

「そうね。まぁ精々二人で頑張って」

ふふっと笑ってコーヒーを飲む姿に、私は呆然としていた。
一体何が起こっているのか、私だけ流れについていっていない。
京介は相変わらずニヤニヤしているし、慶太郎さんは落ち着き払っていた。
これは勝負がついたってこと?
いやいや、まだだよね?
だって綾乃さんは、『互角に戦える』って言ってたんだから……。

「えっとですねぇ、これは今、どういう状況にあるんでしょうか?」

恐る恐る全員に尋ねる。
まだ肩を抱いている慶太郎さんがソファーから身体を上げ、私に顔を近づけた。

「百花が勝ったんじゃないのか?」

「えっ? そうなの? だって……」

綾乃さんを見ると、かったるそうに長い黒髪を掻きあげた。

「勝ったとか言わないでくれる、慶太郎。今日のところは、百花さん、あなたの頑張りに身を引いてあげるだけ。でも、よく覚えておいて。あなたがまた弱気なことを言い出したら、すぐに慶太郎を奪いに来るから。今度は全力でね」

綾乃さんの全力って、どんなんなの?
今以上の凄さで来られたら、私はひとたまりもないんじゃないだろうか……。

恐るべし、綾乃さん。













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