もっと美味しい時間
「結婚するんでしょ? これからはずっと百花ちゃんを守ってあげるのよ。いい?」
「はい」
慶太郎さんのハッキリとした返事を聞いて、ホッとしたような顔を見せる春さん。
今度はクルッと向きを変えて、京介を見た。
「ところで京ちゃんは、良い人いないの? この二人見てると、結婚したくなっちゃうでしょ」
クスクス笑いながら、京介の肩をポンポンと叩く。
「そうでもない。まだ当分一人でいいよ」
京介の言葉に、春さんが残念そうな顔をした。
京介、恋愛に興味ないのかなぁ……。
まぁ性格に少々問題ありだけど、よく気がつくし時々優しい。見た目は問題なくいい男なのになぁ。
「……あっ」
「な、なんだよ。いきなり大声出すな」
「ごめん。でも大忘れしてたことがあって……」
慌ててバッグを手に取ると、中から封筒を出し京介に渡した。
「何、これ?」
「美和先輩から、渡して欲しいって頼まれた。この前本社に来た時に会ったけど、覚えてる?」
「あぁ」と一言発すると、そのまま黙ってしまった。
少し顔が赤い? 気のせい?
「何で若月が京介に?」
慶太郎さんが私に顔を寄せると、そっと耳打ちした。
「好きみたいだよ」
小さく囁き返す。
「はぁっ!? あいつ、彼氏いただろう?」
声が大きいよ、慶太郎さん……。
封を開け中の手紙を読もうとしていた京介が、怪訝そうな顔をした。