もっと美味しい時間
「今の春さんの言葉、聞き捨てならないんだけど」
そう言って、私と京介を交互に見た。
私が俯き加減で京介を見ると、やっぱりシラッと素知らぬ顔。
「誰かさんのせいで自分を責める女を目の前にして、放っとける男がいるかよ」
「だからって、人の女を抱くのかっ!」
「慶太郎さんっ……」
「お前は黙ってろっ」
止めに入ろうとした私の肩に、慶太郎さんの振り上げた手が当たる。
「イタッ……」
「百花ちゃん、大丈夫?」
入り口に立っていた春さんが、慌ててそばに来た。
「二人共、何してるのっ!! 特に慶ちゃん、そんなんで百花ちゃんを幸せにできるのっ?」
春さんの言葉で、まるで母親に怒られたように小さくなる二人。
私の肩を擦りながら、春さんは言葉を続けた。
「私が言った言葉もいけなかったわよね。ごめんなさい。でも、慶ちゃんは目くじら立て過ぎ。百花ちゃんのことも京介ちゃんのことも、信用してないの?」
「いや、そんなことは……」
「だったら、もっとドーンと構えてなくちゃ! ねっ?」
出たっ! 春さんウインクッ!!
これにはさすがの慶太郎さんも言い返す言葉がないのか、頭を掻きながら頷いた。