もっと美味しい時間
「どうもしないですぅ~」
どこから声を出してるんだと言うような素っ頓狂な声が出てしまい、慶太郎さんを驚かせた。
水華さんは大笑い。
恥ずかしくなって両手で顔を覆うと、水華さんがワンピースを手にして近づいた。
「はい、これ。慶太郎に着せてもらえば?」
顎をしゃくって慶太郎さんを指すと、ニヤリと意味ありげに笑って店内へと行ってしまった。
ワンピースを持ったまま立ち尽くす私に、慶太郎さんの手が触れた。
「キャッ!!」
敏感になっているのか指先が触れただけで電流が走り、身体が大きく跳ねてしまう。
「お前……。邦男に何か言われたな。何言われたか、言ってみろよ」
「と、と、特に何も……。この、このワンピースを着せてもらえって」
「ふ~ん……」
そのジトッとした目。私の言ったこと、絶対に信用してないよね。
それに私も水華さんの言葉に、動揺し過ぎ。
別に服を脱がされることくらい、どうってことないじゃない。
もう今までに、何回脱がされたことか……。
どうせ脱がされるなら、このワンピースみたいに一気にファスナー下げて脱がされた方が潔い。
って、私ったら何考えてるんだか……。
手に持ったワンピースを徐ろに着ると、背中を慶太郎さんに向けた。
「ファスナー、上げてもらってもいい?」
「あぁ、分かった」
私の髪を片方の肩に寄せると、うなじに息がかかる。身体の近づきに胸が高鳴る。
「こんなにまじまじと百花の背中見たのは初めてだな。綺麗だ」
そう言って首筋にキスを落とすと、ゆっくりとした手つきでファスナーを上げた。