もっと美味しい時間
「水華さん、これ履いていいの?」
「そう言ったでしょっ! 全く、何聞いてるのこの子はっ!!」
ギロっと睨まれても水華さんの口の悪さは意地悪じゃなさそうだし、全然平気。
それよりも、これっ! このパンプス、すっごく可愛い!
パンプス自体は少し光沢のある普通のデザインなのに、ワンポイントあしらうだけで、スイート感や華やかさがアップしちゃてたまらない。
確かビジューって、フランス語で“宝石”って意味だったはず……。
スワロフスキーで作られたこのビジュー。
まさしく、宝石のように光り輝いていた。
水華さんに「早くっ」と言われハートビジューのパンプスを履き、一緒に用意されたネックレスとイヤリングも付けた。
最後に、これまた可愛くレースが上品なゴールドのクラッチバッグを手にすると、もう一度鏡の前に姿を映した。
「うん、完璧……」
水華さんが呟くと、慶太郎さんも満足そうな顔を見せた。
少し照れくさい……。
一人、頬をピンクに染めてもじもじしていると、慶太郎さんが肩を抱いて囁いた。
「馬子にも衣装か……」
「け、慶太郎さんっ!!」
「ウソウソ。そう怒るなって。すごく可愛い。惚れ直したよ」
いやいや、そこまで言わなくてもいいんだけど。
水華さんの前で照れるじゃない……。
「慶太郎。この子、あんたの言葉、真に受けてるわよ」
「こいつ、単純だからね。まっ。そこが可愛いんだけど」
この二人、絶対に悪友仲間だよ。言いたいこと言っちゃって……。
呆れて溜め息をつくと、水華さんが腕を掴んだ。