もっと美味しい時間  

椅子を引いてもらい腰掛けると大きな窓から見える景色には、夕方慶太郎さんと歩いたモザイクの観覧車やハーバーランドのビル群が見え、行き交う船のライトが水面に揺れていた。
煌めく夜景は、まさに豪華な宝石箱のよう。

「なぁ、ゴージャスな気分だろ?」

肩肘ついて魅惑の瞳を向ける慶太郎さんは、ずっと見ていたくなるほど美しい。
夜景にも負けていなかった。

「う、うん。素敵すぎる……」

慶太郎さんのお顔が……。

何て、言えるわけないじゃんっ!!
グフっと笑いを堪え俯くと、慶太郎さんが肩に手を置いた。

「お前、今ナニ考えてた?」

「へっ? な、何って、別に大したことじゃないっていうか……」

慶太郎さんの細められた目が、私を疑っている。
言わなきゃこの場が収められないような雰囲気に、口を割ろうとしたその時、グッドタイミングでコック帽を被った男性が部屋に入ってきた。
慶太郎さんが「チッ」と舌打ちをし正面を向く。
どうせ私のことなんてお見通しの慶太郎さんは、私を弄って遊ぶつもりだったんだ。
こんなところでまでもSっ気出しまくりで、困ってしまう。
でも、ほっと一安心して私も椅子に座り直すと、男性が鉄板を挟み目の前に立った。

「本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。神戸牛をはじめ、明石の新鮮な海の幸を、どうぞ最後までお楽しみ下さいませ」

そう言うと、部屋に入ってくる時、手に持っていた皿の上の食材を、ピカピカに磨かれた鉄板の上で焼きだした。

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