もっと美味しい時間  

───ほっぺたが落ちるくらい美味しい───

美味しいものを食べるとこの言葉をよく使う人がいるけれど、それってあながち間違えではないことを思い知った。

だって今の私は、ほっぺたが落ちちゃっているんじゃないかと思うくらい、シャトーブリアンの美味しいさに感動してるんだから。

「この世の中に、こんな美味しい食べ物があったなんて……。今まで生きてて良かったぁ」

「お前、何歳なんだよ。大袈裟だなぁ」

「慶太郎さんはいつでも食べれるかもしれないけど、私はそうはいかないでしょっ!  大袈裟にもなるって」

いくら高収入の慶太郎さんの奥さんになるからといって、無駄遣いをするつもりはない。
だとしたらこんな高級なお肉、今度口にするのはいつになることか……。

ゆっくりと一口一口味わって食べていると、慶太郎さんが自分のお肉を大きく切り分けて私のお皿に乗せた。その量を見て驚き慶太郎さんのお皿を見ると、半分近くが私の皿にあることが分った。

「こんなにもらったら慶太郎さんの分が無くなっちゃう」

慌てて返そうとすると、それを手で制された。

「百花に食べさせたくて、この店を選んだんだ。まだ食べられるんだろ?」

「うぅっ、それを言われると……」

実際まだ食べられるから、なんて言ったらいいのか……。
最近の胃袋の凄さには、自分でも恐ろしくなるくらいだった。
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