もっと美味しい時間  

「東堂さん。百花さんなら大丈夫ですよ。きっとこの店の、看板娘になってくれます」

旦那さんがそう言うと、奥さんも横でうんうんと頷いた。
二人の自分に対する評価に気を良くすると、『どうだっ! 』と言わんばかりに、すました顔を慶太郎さんに向けた。

それを見て少しだけ呆れたような顔を見せた慶太郎さんは、私の鼻をキュッと捻ると、ご夫妻に向かってもう一度深く頭を下げた。私もつられて頭を下げる。
そして帰り際に「東堂さんの好物だろ?」と、袋いっぱいのクロワッサンをもたされてしまった。


「こんなにたくさんもらっちゃって、かえって申し訳なかったよなぁ」

カゴの中のクロワッサンをひとつ手に取ると、パクっと咥えひとくち食べた。

「やっぱり美味しい~」

それを時々食べながら、手際よく準備を始めた。

いくつかクロワッサンを取ると、それらに切れ目を入れてトースターで軽く温めておく。
その横でフライパンを火にかけると、バターたっぷりのスクランブルエッグを作る。普通のスクランブルエッグよりも粗挽き胡椒を多く入れて、ちょっぴり大人な味にしてみた。
それを温めておいたクロワッサンに、レタスとマヨネーズと一緒に挟めば、クロワッサン玉子サンドの出来上がり。

次に、先日綾乃さんにもらったローストビーフを使ったクロワッサンサンドを作リ始めた。
玉子サンドを作る前に作っておいた、スライスした玉ねぎをポン酢に浸しておいたものを冷蔵庫から取り出すと、ギュっと水気を切る。
それをローストビーフを挟んだクロワッサンにタップリと詰め込めば、豪華なローストビーフのクロワッサンサンドの出来上がった。

「朝から贅沢だよね」

余ったローストビーフをつまみ食いすると、水切りしておいたレタスとパプリカで、シンプルなサラダを作った。
あとはコーヒーを淹れば、準備完了!
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