もっと美味しい時間  

そして結婚式当日も、また胸の話されるなんて……。
どうせ私の胸はちっこいですよっ。でもいいじゃないっ!! ちいさくても、ちゃんと役目を果たしてるんだからっ!!

頬を膨らませ鼻息をフンフンさせていたら、水華さんが笑い出した。

「ほんとにあんたは面白いわね。はいっ、準備オッケイ。慶太郎呼んでくるから、ちょっと待ってなさい」

カツカツとピンヒールの音を立てて、隣のレストランへと向かった。


そう今日は、妊娠してしまい出来なかった結婚式。
水華さんの計らいで、ここ神戸で挙げることになった。
隣のレストランは多国籍料理の店で、座敷を来賓の方々の控え室に使い、私と慶太郎さんの着替えなどは、水華さんの店で行なっていた。

今日は親しい人たちだけを招いての、人前式&披露宴&赤ちゃんお披露目会。
気兼ねなく楽しんでもらおうと、ささやかな式につもりだったんだけど……。
蓋を開けてみれば、テレビで見たことのあるアナウンサーの司会に、バイオリンの生演奏。有名パティシエを招いての豪華ウエディングケーキと、規模は小さいのに豪華さはピカイチの式になってしまっていた。

「水華さんって、なんか裏の顔がありそうで怖いよね」

一人小さな声でぶつぶつ言っていると、いつの間に来ていたのか、慶太郎さんと水華さんが二人して私を見ていた。

「慶太郎。あの子一人でお経あげてるわよ。やっぱり結婚相手、間違えてんじゃないの?」

「かもなっ」

おいおい、『かもなっ』て何よっ!! そこは否定するとこでしょっ!!
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