もっと美味しい時間
慶太郎さんの声に水華さんの動きが止まると、表情をゆっくり水華に戻す。そして甘えるような声を出しながら、慶太郎さんの方へと振り向いた。
「もぉ~、慶太郎ったら、そんな怖い声出しちゃってっ。ちょっとしたジョーク。本気で怒っちゃいやん」
慶太郎さんに近づき肩に手を当てると、顔を覗き込む。そして不愉快そうにシワを寄せている眉間に指を当て、伸ばした。
「ダメよぉ~。こんな所にシワ寄せちゃ。いい男がだいなしぃ~」
「放っとけっ!!」
何事もなかったようにサラッと流す水華さんに、慶太郎さんも呆れ顔だ。
「あ~ぁ。せっかく百花の唇が食べれると思ったのに、ざ~んねんっ。退院したら、お店にウエディングドレスの採寸に来てよ。分った?」
そう言うと手を振りながら、病室を出て行ってしまった。
「あいつ、何しに来たんだ?」
「う~ん……。私のオッパイを見に?」
「なんだよっ、それっ!!」
また怒りが再発したのか、「俺にも見せろ。写真も撮る」なんて、意味不明なことを言う慶太郎さん落ち着かせる。
まったく、どいつもこいつも、人の胸を何だと思ってるんだ……。
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