もっと美味しい時間  

「百花、時間いいの?」

お昼休みのチャイムが鳴ってから、もう10分以上経っていた。
キリがいいところまでと思って頑張っていたけれど、もうタイムリミットのようだ。さっきから携帯が何度も鳴っている。きっと京介だろう……。

「うん……そろそろ行かないとね。いいかなぁ……」

「こっちのことは大丈夫だから、さっさと行きなっ」

「藤野、またお土産頼むな」

「寺澤っ!! あんたは早くおにぎり食べて仕事しろっ」

またもや美和先輩に厳しく言われ、シュンとする寺澤くんを宥めながら準備を整える。
課長に挨拶を済ませると、美和先輩がフロアの入り口で待っていてくれた。

「じゃあ皆さん、よろしくお願いしますっ。行ってきますっ!!」

「百花、急ぐよっ」

逸る気持ちを押さえながら、ロビーへと駆けていく。

「ところで先輩? なんで先輩まで一緒に走ってるんですか?」

「あぁ、百花の話に出てくる“京様”とやらを見てみたくてね」

「はぁ……」

まぁ確かに、見るだけなら目の保養になるかもしれない。慶太郎さんの親友だけあって、どっから見てもイケメンなのだから。
でも私にとっては、第一印象が最悪だったからね。今でこそ普通に話せるけれど……。
美和先輩にもあんな態度とったら、ぶん殴ってやるっ!





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