【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
廉には婚約者がいる―…
紀之さんの声が頭の中で何度もリプレイされて、眩暈にもにた感覚に襲われる。
グラリと身体が揺らぎそうになるのを支えたのは、肩を掴む紀之さんの手の強さだった。
「…婚…約者?」
「そうだ。結婚は避けられない。
どんなに好きでも、最終的にはお前と別れることになる」
「そんな事…だって廉君はまだ高校生で…」
「そんなのは世間一般の常識だ。
俺達の一族は10歳になる前には殆どの者が婚約者を決められる。…随分昔からのしきたりだ」
「そんな…本人の意思のない結婚なんて…」
「結婚なんて家同士の形だけのものだ。
俺達一族の結婚生活に愛があるほうがむしろ少ないと思ったほうがいい」