【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


「香織が…危ない」

「危ないってどういうことだ? まさか昨日の今日で彼女を一人にしたのか?」

「……香織を家に帰した。紀之さんが来る少し前に安田さんの部下に彼女を警護させ送るよう命じたんだ」

「なっ…くそっ、来るときにすれ違ったあの車か」

「紀之さん!車を貸してください」

ドアの前に落ちていたポルシェのキーを拾い、血相を変えて駆け出す僕の腕を、紀之さんが掴んだ。

「お前免許もってねぇだろうが。チッ! 行くぞ廉、俺が運転してやる」

意外な申し出に驚いて一瞬動きを止めた僕から素早くキーを奪い、「ボケッとすんな。行くぞ」と言い捨て駆け出した紀之さんを、釈然としない気持ちで追いかけた。

彼が僕を助けてくれる理由が解らない。

昨日まで僕等を別れさせようとしていたのに、何故?

罠だろうか…

それでも今は、彼の気まぐれに感謝するしかない。

香織さえ無事なら、これが罠であっても構うものか。

もうあんな思いは決してさせない。


香織…


必ず助ける―…



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