【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「3月頃だったな。廉がすごい勢いで頭角を現したって噂がジジイの耳に届いたのは。安田からその理由が彼女だと聞いて、ジジイは俺に調べるよう命じたんだ」
車の照り返しが眩しいかのように目を細めて遠くを見る。
目の前の光景ではなく何処か遠くを見つめる彼の横顔から、何故か視線が逸らせなかった。
「彼女はごく普通の女の子で凄くイイコだ。
だから、ジジイには別に害はないと報告したんだ。
初恋なんて淡雪と同じですぐに終わるってな。
…それなのに安田から何を聞いたのか知らないが、すぐに別れさせろと言い出したんだ。
…彼女が財産目当てで近づいた下衆(げす)な女なら簡単だった。
少し脅すなり金でも握らせてやればいい。
だが、純粋にお前を信じるあの娘は、一族の事もお前の婚約の事も何も知らなかった」
香織が学校前でポルシェに押し付けられていた光景を思い出す。
あの日に還ることが出来たら、決して香織を傷つけたりしないのにと、虚しい思いが胸を過ぎった。
「何も知らないなら深く関わる前に、喧嘩でもしてすれ違ってくれればいいと思っていたんだ。
ホテルで彼女を訪ねたのも、誤解をさせてすれ違う切っ掛けを作るつもりだったんだが…彼女が余りにも真っ直ぐにお前を信じているんでな。
試してみたくなったんだ。お前達の絆って奴を」
車の照り返しが眩しいかのように目を細めて遠くを見る。
目の前の光景ではなく何処か遠くを見つめる彼の横顔から、何故か視線が逸らせなかった。
「彼女はごく普通の女の子で凄くイイコだ。
だから、ジジイには別に害はないと報告したんだ。
初恋なんて淡雪と同じですぐに終わるってな。
…それなのに安田から何を聞いたのか知らないが、すぐに別れさせろと言い出したんだ。
…彼女が財産目当てで近づいた下衆(げす)な女なら簡単だった。
少し脅すなり金でも握らせてやればいい。
だが、純粋にお前を信じるあの娘は、一族の事もお前の婚約の事も何も知らなかった」
香織が学校前でポルシェに押し付けられていた光景を思い出す。
あの日に還ることが出来たら、決して香織を傷つけたりしないのにと、虚しい思いが胸を過ぎった。
「何も知らないなら深く関わる前に、喧嘩でもしてすれ違ってくれればいいと思っていたんだ。
ホテルで彼女を訪ねたのも、誤解をさせてすれ違う切っ掛けを作るつもりだったんだが…彼女が余りにも真っ直ぐにお前を信じているんでな。
試してみたくなったんだ。お前達の絆って奴を」