神名くん



徐々に私は落ち着きを取り戻していくのです。ずっと神名くんの近くにいたい気持ちをそっと胸の内へと抑え込み、ゆっくりと神名くんから離れました。包み混まれていた手はとてつもなく物足りなさを感じるのです。今でも彼の体温が残っているからでしょうね。



鼻には神名くんの匂いがただ張り付いているばかりです。少々気恥ずかしく感じるのも仕様でしょう。私は神名くんを見上げる形で見合いました。



何せ神名くんは、神様であっても姿形は普通の男性なのです。高校生の男子の大半を見ていてもわかる様にやはり普通の女子よりかはやはり高い位置に彼らの頭はあるのです。



勿論、神名くんの頭もそうであって、ですが、やはり私はあの幼子時代よりは彼には近付いたのだとそう核心はしていました。



小さく笑む私は既にいつものような調子を取り戻していたのでしょう。先程までの女々しい私はいなくなっていました。



「神名くんは、大学に通われていたのですね。全然気づかなかったのですが。」

「それは、仕方ないよ。にのが学校の時は僕も学校だったからね。」

「ですが、私が幼子の時に職業を聞いた時には既に"神様"と答えていたじゃあ、ありませんか。どちらが嘘ですか。」

「どちらも正解。あの時はまだ二十歳だったし。ちょうど、大学通いながら仕事に励んでいたよ。それに、まだ僕は未熟だったからね。殆どは僕に仕事は入って来なかったんだよ。」



そうですか。これで、私の矛盾と誤解が全て解ける事ができさましたよ。俯き気味の私の顔には微笑が浮かんでいました。




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