神名くん
空はとてつもなく青く澄んでいました。こんなにも近付いた事などなく、ついつい手を伸ばしたくなります。フェンスに寄り掛かりながら手を伸ばすと、意外にも空は遠く感じるのです。あんなに近い雲までもが届かず無償に悲しく感じたのは、何故でしょうか、私にもわからないのです。
そんな、私の隣に神名くんが並ぶ。そして、私と同じように手を伸ばすのです。私めよりも高い位置にある彼の手が少々羨ましく感じてしまうのは仕様です。それを見てしまうと少々悔しく感じます。
ぷいと、顔を背けると、神名くんは、くすりと笑うのです。口許を尖らせる私は、彼に反抗心が芽生えてしまいます。
「神名くん、今学校の先生なのでしょう。こんな所でこんなことしていて良いのですか。」
「まあ、この時間は授業ないしね。そんな、にのだって授業サボっていいわけ。」
「神名くんが私を引っ張ったじゃありませんか。」
「それでも、手は解けた筈だし僕から離れようとすれば安易に出来た筈なんだけど。」
「そ、そんなこと…。」
「無いと言えるの。」
「……、」
「……。」
神名くんを睨みつけているのですが、彼は相も変わらずに口許を緩めてはニヤニヤとしているだけでした。妙に頭に来るのは、昔からなので何も変わらないのですが、彼にはどう足掻いても勝てないと言われているようで。
それのせいなのかはよく解らないのですが私が妙に幼く感じるのです。高校生というものは社会から見たらまだ護られている身なので子供なのでしょうが、妙にムカついて仕様がありません。
やはり、私は彼から勝てないと気付き顔を背けたのです。