神名くん



辺りは、すでに暗くなっていたので街灯が照らしてくれていました。私は、その街頭の明かりを踏みつけながら跳ねるのです。別段楽しいことなどありはしないので、このような遊びをしているわけではないのですが、昔、暗闇のところに足を踏み入れると人間界とはならざる場所へと飛ばされるときいたことがあったのです。ですが、正直にそれは信じてはいますが、実際には行けないと確信しているのでそういう理由で街頭の明かりを踏みつけているわけではないのです。



ただ、少しだけ幼少のころを思い出すとこういうことをよくしていたと思ったのです。私が、女の子らしく静かになってしまったのはあながち神名くんのお陰なのですが、以前はこのようなことをしていたので、何分自分の本質が少々男の子よりなのだと思ってしまう始末でした。そして、時折先生が私の脳内で話しかけてくれるので考える要領で彼と会話をしていたのです。そのお陰と言ってはなんですが、帰り道は退屈することはなかったのですが、考えていることが時折口に出してひとり言のようになっていたので、通行人は私めをきっと変な子と思ったでしょう。それも、あまり気にしないのですが。何せ相手も私も知り合いではないのですから。



私の家の近く程の時に、街頭の下を跳ねたのです。すると、運悪く石につまずいてしまい、前のめりにバランスを崩したのです。ですが、一向に地面にたたきつけられることがなかったので、恐る恐る閉じていた瞼を開くと、神名くんが右腕で私を支えていたのです。私は、一気に頬が蒸気することに気が付きました。それと、同時に神名くんの体温が低く冷えていることにも気がついたのです。私は、慌てて彼から離れると、神名くんの頬にそっと触れたのです。



頬もすでに外気に触れてか冷えておりひんやりとした体温が私の手を伝ってきました。そんな、神名くんは私の手に手を添えると、優しい笑みを浮かべ、安心したように息を吐いたのです。



「こんなに冷たくなって。何時間まったのですか。」

「知らない。でも、これって君が早く帰ってくれば万事解決することじゃないのかな。」

「そう、なんですが。でも、こんなに冷たいとか、マフラーも着けないで、馬鹿ですか。」

「それは、心外だね。君も随分と冷たい。今まで外で何をしていたのかな。こんなに、冷えてる。」

「そ、それは。」



私が言い淀むと、神名くんはくすりと笑ったのです。そして、「わかってるよ。」と意味深に笑むと、私の手を引いて神名くんは家へと案内してくれたのです。神名くんの家も隣の私の家もすでに電気がついておりどこか温かい光が外に漏れているのです。





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