神名くん
先生は、何か考えている素振りを見せるぎりで何も言葉を発することはありませんでした。私は、ただ先生を見つめることしかできなかったのですが、ふとあることを思い出したのです。私が、倒れたところは学校の中でした。きっと、先ほど先生が私の体を動かしていたので場所は流石に移動はしていますでしょうが、私がどこにいるのか正直に分からないのです。
一向に話す様子のない先生に私は意を決して口を開いた。
「あの。とりあえず。神名くんのところに行ったら少しは解消されるのではないでしょうか。私、彼の住んでいる家を知っているので案内したいのですが、情けないことに自分の体を動かすことができません。どうしたらいいんでしょうか。」
私の言葉に先生はきょとりとした顔で私を見上げたので、私もそれに負けじときょとりとした表情になってしまいました。すると、先生はどこか受けたのでしょう。肩を震わせて笑いだすのです。私はどうしてだか分からず首をひねると、「そうだね」と呟き「うん。うん」と繰り返すのです。
「意識を集中してみてごらん」
それだけを教えられたので、どこに集中したらいいのか分からなかったのですが、とりあえず瞼を閉じ、自分自身に集中してみることにしたのです。すると、急に肌寒くなり、目を開くと私のいつもの体になっていたのです。そこは、高校の近くにある公園で、西日はすでに沈んでいました。と言うよりも、
「寒っ。夜って寒いです。」
私は、腕らへんをさすりながら座っていたベンチから立ち上がってその場を逃げるようにしてかけだしたのでした。