虹になる日がきたら


「刑事ドラマでカツ丼食べさせたら自供するってシーンがあるけど、美玲が自供したらどうしようか」


もんもんと悩んでいたら


「コンコンッ…副社長、昼食が届きました」


テッキリ美玲が持ってくるものだと思ってタバコを片手にくつろいでいた。


「あぁ、ありがとう。そこに置いといてください…鞍橋君はどうしました?」


「鞍橋は先程、藤崎様からお電話があり対応しておりますが」


藤崎新!?


一礼をした秘書が部屋を出て行きすぐ、美玲が入ってきた。


「副社長すみません、私宛に電話が入って「藤崎新だよな?」


低い声が出た。


「うん…」


これはただの嫉妬心だな。
みっともなさすぎだな俺


「話がしたいって…一君が一緒ならって勝手に話を進めちゃったんだけど…だめだった?」


うっ…その顔は卑怯だ。


「ちゃんと話せるか?俺は遠慮した方が「一君居て!」


この時の美玲の発言はただ、俺のことを考えての発言で…何の意味も無いのかと思ったんだ。






就業時間になりたまには外食にしようかと思ったんだが琉喜君が許してくれなかった。


琉喜君は暇なのか?執筆中ってそらから聞いたけど…?



「琉喜君ありがとう」


「ありがとうございました」


「いやっ、こっちこそ無理矢理悪かった!編集者が締め切り間近だとしつこくてノイローゼ気味だったんだ」


締め切り間近ってかなりヤバくないか?


「大丈夫なの?」


「いつものこと」


「ハハッ、編集者泣かせだな」


「だなっ。じゃぁな~」


「ありがとうございました」


「琉喜君気をつけて」


賑やかだった部屋はパタンと音を残し静まり返った。



「心の準備は?」


「大丈夫…かな?」


食後のデザートとはかけはなれている重い告白


「一君が嫌だったら止めるからね」


「わかった」


真剣な眼差しの一君。


「ス~ッ…柊兄が…亡くなって記憶が曖昧で、笑わない日が続いた。
その事で友達が離れていった時があったの。
楽しかった思い出が霞んでいってた。
でも、なんでかわからなかった…
あんまり急の事だったから誰とも話したくなくてね、軽い登校拒否した時もあった…

同情するような目が嫌でたまらなかった。

でも、隣人だったあらちゃんはずっと変わらなくて心の支え的な人だったんだよね
正直嬉しかった」


気まずそうに笑った美鈴






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