おやすみ、先輩。また明日

あ……意外とまつ毛長い。


切れ長の瞳の横に小さな傷跡が。

ケンカとかでできた傷なのかな。



そんなことをぼんやりと思っていると、徐々に顔が近づいてきて……。

唇が触れそうになった時、ぴたりとヤンキー先輩が止まって。


息が、ほんの少しわたしの唇を撫でた。




「……悪い」



何かに耐えるような、嫌悪を感じているような、

そして泣きそうな顔をしてヤンキー先輩が離れる。



謝らないでほしかった。

謝るくらいなら、ちゃんとキスしてからにしてほしかった。


あ、でもやっぱりだめ。

キスしてから謝られたら、それはそれで傷つく。


絶対傷つく。

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