おやすみ、先輩。また明日
それともティラミスがいいかな。
ちょっと濃い目のコーヒーを使って、カップとかに入れて渡すと可愛いかも。
「ねえ! ふたりとも。ティラミスはどうかな?」
「ティラミス? いいじゃんいいじゃん! ティラミス大好きなんだよね~」
「ああ、あれ。いいけど私、あの洋酒っぽいのが苦手なんだよね」
「そっか~。じゃあ山中さんのはお酒なしにしようか」
そうと決まれば、早速材料を書き出そう。
インスタントコーヒーと、生クリームとマスカルポーネチーズに……。
割と簡単に出来るから、残った時間を冷やすのに回せばいいよね。
わたしの手元をのぞきこんでいた山中さんが、しばらくして「それはそうと」と口を開いた。
温度の低い声に、何を言われるのかと身構える。
またマシンガンが炸裂するのか。
「昨日桜沢さん、駅で男子生徒にシフォンケーキを渡してたでしょ」
あれ。
なんだか今日はちょっと違うみたい。
そういえば、昨日駅に山中さんもいたんだっけ。
思いきり睨まれたことを忘れてた。