強迫性狂愛
「違うの…っ、ねぇ、迅っ聞いて!」


「今は、何も聞きたくない」



必死の思いで掴んだ手は、静かに迅によってまた―…離される。


いやだ。


離れたくない。


迅が好きなの。


一緒にいたいの。



「迅っ!一人に…、しな…っで!」



こんな言葉が言いたいわけじゃない。


こんな言葉に迅が反応してくれるなんて思っていない。


だけど…


だけど―…



お願い、一人にしないで…



私の、悲痛の願いはただ一人、空回りして…


迅は、部屋を出て行ってしまった。

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