饅頭(マントウ)~竜神の贄~
第四章
 次の日、早速虎邪(フーシェ)と緑柱(リュイジュ)は町の神殿へと連れて行かれた。

 唯一の救いは、案内役が神明(シェンミン)姫ということだろうか。
 これでずっと長などに引きずり回されていたら、虎邪は癇癪を起こして、とっとと帰ってしまったかもしれない。

「はぁ・・・・・・コレが神殿。さすがにこれじゃ、わからなくても不思議はないかな」

 長の家から馬車に揺られて着いたのは、川の上流寄りにある、石造りの小さな建物。
 これがこの町の神殿らしい。

 確かに道々見えていた他の家とは全く違うが、みすぼらしさは変わらない。
 昨日のうちにここを見つけていても、とても泊まろうという気にはならなかっただろう。

 都市の神殿とは全く違う。
 果たして機能しているかも怪しいほどの、寂れた神殿だ。

「神官は? いるの?」

「いますよ。水害が起こると、その都度水神を宥める儀式を行いますから」

 さすがにちょっとムッとしたように、神明姫は言い、神殿の裏手に回った。

「あそこに、神官の住む家が」
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