饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「これはこれは。姫様ともあろうおかたが、こんなところで何をしておられる?」

 デブが近づいた分、姫は後ずさる。
 その様子が今朝の虎邪に対する態度のようで、後ろから見ていた虎邪は、微妙な顔になった。

「・・・・・・なぁ緑柱。姫にとって、俺はあいつと変わらんのか?」

「だとしたら、姫君は男ってもの自体が嫌いなのかもね」

 一応緑柱にも、一般的な感覚はあるらしい。
 どう見ても、破落戸を従えたデブよりも、虎邪のほうが見目は良い。

「あ、でも、あのデブは、めっちゃ優しいのかも」

「俺だって優しいじゃないか」

「唸るほどの財力があるとか?」

「俺だって実家は金持ちだ」

「でもあんた、左遷されてんじゃん」

「・・・・・・」

「第一神官様のところに養子に入ってからは、好きに使える財も知れてるしね」

「・・・・・・」

「でも虎邪。何か話が逸れたけど、姫君はあのデブのこと、嫌ってるって」

 あ、と項垂れていた虎邪が顔を上げる。
 いつの間にかデブの良いところを捜していたが、そもそも姫はデブから後ずさっていたのだ。
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