饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「う~ん・・・・・・。その剣、姫様に向けられたものなのですか?」

「そうよ。しっかり、私を狙ってたわ」

「剣先が姫様のほうを向いていても、もしかしたら、その後ろの何かを狙っていたのかもしれませんよ?」

「でも・・・・・・」

 そう言われてしまうと、何とも言えない。

「大体、最後は殺されてしまう、というわけでもないのでしょう?」

「・・・・・・」

 いつも、剣を振り下ろされるところで目が覚める。
 だから、厳密には自分が斬られたのかわからない。

「運命の相手が、夢の中で魔物に襲われる姫様を救っているのかもしれないじゃないですか」

 うきうき、と露は神明の髪を梳く。
 う~ん、と考えてみるが、どうしてもそれは、都合の良い解釈でしかないように思える。
 自分が救われていたのなら、あんなに悲しい思いはするだろうか。

「とにかく、同じ夢をそう何度も見るってことは、きっとそのかたと会うことも叶いましょう。楽しみですね」

 果たして正夢になることが良いことなのか。
 神明はこれまた、う~ん、と唸った。
 そして、大事なことに気づく。
< 5 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop