饅頭(マントウ)~竜神の贄~
 虎邪はあからさまに顔をしかめ、男に向かって、しっしっと手を振った。

「いくら俺が見目良いからって、じろじろ見るんじゃねぇ。気色悪い」

「んなっ!!」

 男が大袈裟に仰け反って驚く。
 虎邪はそんな男に、訝しげな目を向けた。

 一体この男は、何様のつもりなのだ。
 この町では、長ですら虎邪には敬意を払う。
 都市から派遣されてきた人間というものは、それなりの身分であるものだ。
 このような小さな町の人間よりも、派遣されてきた人間のほうが、立場は上なのだ。

「こっ小僧っ! わしを誰だと思っておる!!」

 ずいっと前に出る男に、今度は虎邪が仰け反った。
 あまり間近で見たい面ではない。
 神明姫が、おろおろと二人の間に割って入った。

「あのっ。このかたは、都市から来てくださった、神官様です」

 姫が男に向かって言ったことに、男はまた、大袈裟に仰け反った。
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