饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「そういえば、あの森で行われる秘儀というのは、どういうものなのです?」

 さりげなく話題を変え、虎邪は姫を促した。
 姫は、ちら、と森に目をやり、怯えたように身体を震わす。

「生け贄を捧げるんですよね?」

「ええ・・・・・・。あまりに災害が大きかったりすると、果物や宝石などでは、神の怒りは納まらないだろうということで・・・・・・」

 姫が祭事について話し出したとき、激しい蹄の音がした。
 向こうのほうから、馬車が駆けてくる。

「姫様!」

 馬車の窓から、侍女の露(ルウ)が叫んだ。

「お探ししました。急ぎ館にお戻りください。神官様は、神殿へおいでくださいと伝言が」

「おお、タイムリーだな。さ、姫は気分が悪いようだから、馬車で帰ったほうがいい」

 そう言い、虎邪は神明姫を馬車に押し込んだ。

「あ、あの。ふ、虎邪様は・・・・・・」

 姫を押し込んだだけで扉を閉めようとする虎邪に、神明姫は思わず声をかけた。
 途端に虎邪が、にぱっと笑う。

「おや。俺がいたほうが良いですか? ふふ、そういえば、先程からやっと名前で呼んでくれるようになりましたね」
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