饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「な、何言ってますのっ」
赤くなりながら言い、姫は馬車の扉を思いきり引っ張って閉めた。
「ご心配なく。俺たちはこのまま、川沿いに歩いていって、神殿に行きますよ」
笑って虎邪は、御者に馬車を出すよう命じる。
良いのですか? と問う御者に頷き、手を振る虎邪と緑柱を残して、馬車は離れていく。
馬車の中から、ちらりと神明姫は後ろを振り返った。
虎邪と緑柱は、すでに上流に向かって歩き出している。
遠ざかっていく虎邪の後ろ姿を見つめながら、何故だか神明姫は悲しくなった。
そして、そんな自分の気持ちに、自分で驚く。
---なっ何をこんなに、私は悲しんでるのかしらっ。森の中でも、ずっと引っ付いていたし。あ、あんな軽い人、全然趣味じゃないのにっ---
そうは思うが、考えてみれば、気になっていたはずの緑柱のことなど、うっかりすると存在すら忘れる勢いだ。
気づけば虎邪のことを考えている。
もう一度、ちらりと馬車から外を見る。
最早豆粒になった虎邪を見、いきなり神明姫は、はっと気づいた。
赤くなりながら言い、姫は馬車の扉を思いきり引っ張って閉めた。
「ご心配なく。俺たちはこのまま、川沿いに歩いていって、神殿に行きますよ」
笑って虎邪は、御者に馬車を出すよう命じる。
良いのですか? と問う御者に頷き、手を振る虎邪と緑柱を残して、馬車は離れていく。
馬車の中から、ちらりと神明姫は後ろを振り返った。
虎邪と緑柱は、すでに上流に向かって歩き出している。
遠ざかっていく虎邪の後ろ姿を見つめながら、何故だか神明姫は悲しくなった。
そして、そんな自分の気持ちに、自分で驚く。
---なっ何をこんなに、私は悲しんでるのかしらっ。森の中でも、ずっと引っ付いていたし。あ、あんな軽い人、全然趣味じゃないのにっ---
そうは思うが、考えてみれば、気になっていたはずの緑柱のことなど、うっかりすると存在すら忘れる勢いだ。
気づけば虎邪のことを考えている。
もう一度、ちらりと馬車から外を見る。
最早豆粒になった虎邪を見、いきなり神明姫は、はっと気づいた。