饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「そういうことを知らない者からしたら、供物が途中で消えているのは、神が受け取ったと思っても仕方ない。この森以外は、川はそれなりに拓けたところや町中を流れているから、盗もうにも、ちょっと難しいですしね。この森で供物を盗もうなんて、それこそ罰が当たりそうですし」

 話しながら歩いているうちに、前方が明るくなる。
 程なく、無事に森を出た。

「ああ~。日の光が気持ちいいなぁ」

 思いきり伸びをし、緑柱が眼を細める。
 は、と神明姫は、虎邪から離れた。
 森の中から、ずっと虎邪にくっついていた。

「あれ? 気分はもう大丈夫なのですか? 遠慮無く甘えてくださって、構わないのですよ?」

 虎邪が残念そうに言う。
 いつものように軽く笑いながら言ったものの、ふと彼は真剣な表情になった。

「・・・・・・ほんとに気分は、もう良いのですか?」

 反発しようとしていた神明姫は、いつにない虎邪の態度に、どきりとする。
 心底心配そうな顔。
 神明姫は、己の頬に手を当てて俯いた。
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