研修の夜
「ホントに? なんだか子どもが母親に言うセリフみたいだけど」


嶋田くんも楽しそうに笑う。

もぉ! この顔、やっぱり素敵すぎ!



「よし、じゃあ俺も付き合うよ。どこ復習するの?」

「え、いいの?」

「グループのメンバーが頑張ってんだからね。俺、リーダーだし。で、どこ?」


嬉しすぎる突然の申し出。私にためらいはなかった。


「あの、ここなんだけど」


部屋に男女2人だけというのは、他の人に見られたら厄介なことになるかもしれないけど、そんなこと関係ない。だって2人きりで話すチャンスはもうそんなにないんだから。



「あぁ、ここか。森川さん、暗記苦手なんだ?」

「うん、少しね。嶋田くんは苦手なこととかなさそうだよね。研修でどの項目も完璧だし、すごいなって思ってたよ」

「完璧!? まさか。そんなわけないじゃん」


謙遜とかじゃなく、本気でそう言っているように見えたので意外だった。だってどんな研修内容でも嶋田くんがミスしてるのは見たことがない。


「え、じゃあ苦手なこととかあるの?」

「暗記もそんなに得意ではないよ。昨日もその前も夜にかなり復習したし。あと模擬練習は苦手かな。とっさの対応ってやっぱり難しいし」

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