研修の夜
これは、ちょっとだけ耳が痛い話かもしれない。

だってそれって私がベッドで悶々と嶋田くんのことを考えてる間にも彼は努力してたってことだよね。私も浮ついてちゃダメなんだけどね。でも理屈じゃないんだもん、仕方ない。



「全然苦手に見えなかった。やっぱりすごいよ」

「努力で補ってんの」

「じゃあ、これだけはどうしても無理とかそういうのないの? 弱点とか」

「弱みとか聞いて後で俺をゆする気?」

「違うよ、好奇心だって」



本当は好奇心というよりは、どんな小さいことでも彼のことを知りたいという恋心。だけどそれは内緒。

そして彼は「うーん、弱点か」と少し悩んでから、話し始めた。



「この研修関係じゃ特にないかな。どれも練習すればなんとかなることだったし。ま、研修関係なくていいなら、耳が弱点かな。美容院とか髪洗われるとき結構大変で」

「何それ? リアル弱点じゃん。そういうの確かにあるだろうけど」



苦手なものとかそういう回答が来ると思っていたので、予想外の答えに笑ってしまった。


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