地下世界の謀略





アルトの腕が私の肩を引き寄せる。



「琉たちは軽傷ですんだ、今理貴さんが手当てしてる」

「本当に?」

「ああ。……眞田の姿がないが多分煙に生じて逃げたな。」



(よ、よかった)


そう安堵するも、くそ、と舌打ちをしたアルトは前方をただ睨み付けていた。月もそろりと前を見れば、地面に這いつくばる機械が不気味な音を立てて呻いている。

思わず吐きそうになる光景だ。



「っあれ…なんなの」

「荊で造られたガラクタさ。あんなの何体もいるし、簡単にリサイクルされる」

「…気持ち悪い」



グロテスクな上に、ぐちゃぐちゃでもはやどれがどの器官として機能しているのかも分からない。


────無意識だろう、月はアルトの服をしがみつくように握っていた。あんなのを直視していたら普通は精神がイカれてしまうだろうに、月は決してその物体から目を逸らさなかった。

それを見たアルトは、現実を見定めようとする彼女の度胸に、内心感服していた。





『ある、と……』


朽ち果てそうなソレはアルトを渇望するようにこちらへ手のような部分をぎこちなく、伸ばしている。


「……っ、」


機械は掠れ、一種のホラーのようで。
月は更にアルトにすがりつき身を震わせた。





『あ、ああ、それ、大事な…もの、?こわす、したい』


「え?」

「………どういう意味だ」




『ある、と…逃がす、ないよ』




べちゃり。


───それっきり、動かなくなる。


暗雲と胸騒ぎを残したまま、機械は今度こそ無機質に地面に伏せていた。



「……っう」

「…こっちだ、」


口元を押さえた月を肩に抱いたまま、アルトは教会の本堂へ足を踏み出す。


その合間もずっと、アルトの頭には機械が言った呈示が駆け巡っていた。



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