ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―
とはいえ、収納の延長と思えば使い道もあるだろうと、ポチは考えた。
ほどなくして、その考えが甘かったとすぐに気付く。
入居して一ヶ月もしない間に、本棚は本で埋まってしまったのである。
それはタマの愛読本――ミステリー小説だった。
タマはミステリーマニアなのである。
ポチの記憶では、タマは小学校に入って一年たたないうちに、図書室の子ども名作集の名探偵ものや怪盗ものを読破した。
それ以来、国内外の名作からマイナーな作品まで、新旧問わず、幅広く読み続けている。
ポチもミステリーが好きだったが、タマのようにコアな――マイナー作品の脇役の設定まで暗記するような領域には踏み込んでいなかった。
一方、タマは、不思議なことに、自分がミステリーマニアであることを、他者には秘密にしていた。
その秘密を知っているのは、ポチとタマの家族くらいである。
隠れミステリーマニアのタマ。
ポチが以前、秘密にする理由を尋ねると、
「ン~、ミステリーには『秘密』がつきものでしょ?」
と、タマは答えになっていない回答をして、にっこりと笑った。