二度目の恋
「何だ、ずいぶん早い帰りだなあ。もう配達は終わったのか?」
 局長は愁の手元を見ると、まだたくさん手紙が入った郵便鞄を持っていた。
「何だその鞄は、まだいっぱい手紙が入ってるじゃないか」
 局長は怒り口調で言った。
「おじさん?」
 その声で愁の横に美月が立ってるのに気づいた。
「美月ちゃん?ハハハ、やはり来たか」
「おじさん、おじさんなのね」
「知り合いなの?」
愁は不思議そうに二人を見た。
「何で、何でここにいるの?」
美月は聞いた。
「赴任してきたんだ」
「赴任?」
 美月は首を傾げ、愁は不思議と二人を見ていた。
「二人とも、奥に行こう。そこに部屋がある。ちょっと話そうじゃないか」
 そう言うと局長は歩いていき、二人は局長についていき、部屋の扉を開けて中に入った。
「手紙、受け取ったか?」
局長は、部屋の中にはいるとそこに自分専用のデスクがあり、腰をかけた。美月は頷いた。
「なんて、書いてあった?」
局長は、真剣な眼差しで美月に聞いた。美月はポケットから手紙を出し、局長に渡した。局長はその手紙を受け取り、その手紙を真剣に、無表情に見て、また美月に返した。
「やっぱり、そうか……」
局長は独り言のように言った。
「ママは、生きてるの?」
美月は気持ちを落ち着かせて聞いた。
「期待させて悪いが、シャリーは死んでいる。この手紙は生前の物だ」
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