二度目の恋

第八章

 倉岡直也が帰宅した。ドアを開け、家の中に入ると、すぐさま服を脱ぎ始めた。襟シャツを脱ぎ、ベルトを外し、ジーンズを脱ぎ、靴下も脱いでパンツを脱いだ。全裸となった。胸板が厚く、太股も太く、お尻も締まりがある。体全身が、筋肉質だ。
 前方から美月が近付いてきて、直也は言った。
「風呂は沸いてるか?」
 美月を見
「うん、沸かしといた」
 美月は直也を見
「いい子だ」
 美月の頭を撫でた。そのまま直也は風呂場へ向かい、美月は直也の脱ぎ捨てた服を、拾い歩いた。


 村役場の管理室では、カードゲームをしていた。そこには竹中、唯、ガン太、愁がいた。
「畜生!何なんだよ!」
 突然ドアは開き、芳井が顔を出した。全身ずぶ濡れになっている。
「雨?」
 唯が言った。エプロンに身を包んで、布巾で皿を拭いていた。芳井は怒っている。唯はその芳井を呆然と見ていた。
「突然だよ!もう露は終わってるんだぞ!なんで俺が!唯!タオル!」
「はい」
 唯は咄嗟に、手に持っていた物を投げた。芳井は手に取り
「サンキュー」
 顔を拭いた─────が
「って、これは布巾だろが!!!!」
 芳井が手に取って顔を拭いた物は、今まで唯が皿を拭いていた布巾だった。
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