追憶の淡恋詩
最後に会ったのはこれから2週間後ぐらいだった。
僕達はいつものように最後のデートをした。
そこで僕は彼女にこうお願いした。




「最後くらいは楽しもうぜ」




僕は別れる事に関して、彼女に何かを問い詰める気はなかった。
僕も楽しそうにしないと、彼女も楽しくはないだろう。
なので僕も楽しそうにする努力をした。




しかし、今まで通りに過ごしたつもりだったが、やはりちょっと違う。
そうゆう会話は避けていても何かがおかしい。
お互いに気を使っているのがわかる。



今までの時間で築き上げた信頼関係が崩れたような感覚がして、なんだかちょっぴり寂しかった。








いよいよ夜になり、本当にお別れの時が近づいてきた。
僕はいつものように彼女を家まで送り届けている。
僕は最後に言っておきたい事があった。




「そのネックレス、もうつけなくていいよ」




僕が誕生日にあげたネックレス、僕に会う時は必ずつけてきてくれた。
「なぜ?」という彼女に、さらに僕はこう続けた。




「それは愛の証であげたものだ。これからは今までありがとうの感謝の印だね」




こう言って、僕だけが不自然に笑った。
この時の彼女の表情は見れなかった。
僕はもう彼女の目を見れなくなっていた。
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