追憶の淡恋詩
~最終章~
「他に好きな人が出来ました」


彼女から痛恨の一撃を受け取った僕は、思いっきり心が動揺した。
しかしそれでも表情だけは崩さないように心がけた。



僕は「そうだったのか・・・」と答えて改めて車を走らせる。
これで彼女の浮かない表情のワケが分かった。
確かにこんな事を考えては楽しくは過ごせない。



とりあえず時間が遅かったので、僕は何も言わずに彼女を家に送り届けた。







一人になって僕はコトの重大さの実感が湧いてきた。
僕は運転しながら、どうすればいいか色々と考えた。



人の気持ちを変えさせるのは簡単なコトじゃない。
ましてや僕にそんな力があるワケでもない。



彼女が誰を好きになるのは彼女の自由だ。
彼女の人生を僕が変える権限はない。
僕は自分にそう言い聞かせた。



僕は彼女の気持ちを受け入れる事に決めた。
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