追憶の淡恋詩
彼女の家に着き、彼女は泣きながら運転席の僕に抱きついてきた。
僕はもちろん拒否はしないが、逆に抱きしめてはあげられなかった。



「これからは好きな人に抱かれなさい」
僕はそう言って、彼女は「ありがとう」とうなずいてゆっくり車から降りた。







車を降りてもしばらく彼女は僕を見つめていた。
僕も最後にニヒルに微笑んで見つめていたが、このままだと僕がどうにかなってしまいそうだったので、車を急発進させた。



ぽっかりと空いた助手席、そこにはいつも彼女がいた。
見慣れた彼女の横顔を見る事はもう二度とない。
そこにいるのが当然の事に思っていたが、そうじゃなかった。








こうして僕達の関係は終わった。
これ以降会うことはもちろん、連絡も一切していない。



別れて約6年くらいが経ったが、今では幸せになっていることだろう。
彼女と一緒に過ごした時間で、僕はまた男としての経験値を上げたに違いない。
< 35 / 35 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop