アパート「寿荘」
出発まで後三時間を切った。

太一はしばらくは帰ってこないであろうこの町にサヨナラを告げる気持ちで散歩に出かけていた。

いつも仲間とたまっていた小さな公園。


バンドの練習の場所が無いとき、よく集まっていた河川敷。


毎日のように通いつめたスーパー…



一つ一つの景色を携帯の写メールに撮り保存した。


思い出すにはキリがないくらいだった。



太一はとにかく歩いた。自分の故郷としばらくの別れを惜しむのではなく、その目はこれから始まる夢への挑戦に燃えていた。
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