瞳の向こうへ
昔からポニーテールだったけど、かわらないなあ。


ただ、妙に大人っぽくなったような。


もしやこの可愛い後輩も……あれこれ考えるのはよそう。


「でも、先輩との約束をきちんと守るなんて今時なんて古風な」


感心と驚きが入り交じったため息を潤子先生はつく。


「あの日葵さんと偶然会ったことから始まりなんですよーー」


「お取り込み中申し訳ないんですが、川崎先生、葵借ります」


「え?青柳君?どしたの?」


「グラウンド行こう」


「野球部のマネージャーならいるはずだけど」


「そのマネージャーは全員手話が出来ないんです」


この瞬間、青柳君が何を言いたいのかわかった。わかるの遅くてごめんね。


「では潤子先生行ってきます。とりあえず真緒とおしゃべりしてて下さい」


今日が部活最初かあ。


でも、いきなりグラウンドとは。去年までとは違う。


急に普通の野球部の練習やることになるんですね。


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