瞳の向こうへ
「葵、これから紅白戦だ。どうだ?」


いつの間にか私の隣に源先生が座ってた。


「今日は、メイン終わらせたんで暇人で〜す」


「なら話が早い。飽きたら帰ってもいいぞ」


源先生の野太い声で部員全員がベンチ前に集合。


翔君も青柳君に促されてなぜか私の目の前に。


まともに目と目が合うのってあれ以来かなあ。


「今日は言ってた通り一・二年生対三年の試合をやる。一年生は遠慮はいらない。思いっきり暴れるように」


新入部の部員たちの初々しい声がグラウンドを駆け巡り、そして向こうのベンチに全力疾走。

「俺はあっちの監督するから、青柳、三年仕切ってくれ」


「俺ですか?」

普段はあまり動揺しない青柳君が目を見開いて驚いてる。


「部長もいるから大丈夫。五分後に始めるぞ」


源先生も全力疾走で向こうのベンチに。

もうそれなりの年なんですがねえ。


「よーし、尚太。俺は今日出ない。サイン見落とすなよ」


「マジかよ……」


「よわっちい声やなあ。俺らはある意味負けられないんだぞ!!みんな!気合い入れて
け!!」


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