瞳の向こうへ
ここで嫌だって言って母と喧嘩して旅行行くのも嫌だから渋々お使いを受けることにしました。


駅で潤子先生と合流した時にそれを打ち明けた。


え?なぜ潤子先生がいるかって?


…………女二人の旅行です。


別に悪く言ってないよ。


お互い趣味が旅行なので、高校生活最後のゴールデンウィークは一緒にと約束しました。


先生がついてるから安心ですよ。


親友にそんな趣味はないのかって?


思いつくお二人はあっさり断られました。


たぶん、デートでしょう。


電話の声が浮かれてどうしようもなかったので。


「偉いね葵さん。お母さんのために」


「まあ、喧嘩して旅行行くのもあれだったんで」


「で、お見舞いの後今度は先生のお使い頼まれてくれるかな?」


外は暑いはずなのに、急に身体が冷えてきちゃった。
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